近年、局地的に発生する豪雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」による道路の水没事故が増加し、ドライバーにとって大きな脅威となっています。
「まさか自分が…」 そう思っていませんか?
しかし、ゲリラ豪雨は、場所や時間を選ばず、いつ、どこで発生するかわかりません。
こうした緊急事態に遭遇したとき、冷静な判断と迅速な行動が命を守る鍵となります。
愛車を守るだけでなく、あなたの命を守るためにも、浸水車両から安全に脱出するための知識と備えをしておくことが重要です。
ゲリラ豪雨による車の水没から、 あなたとあなたの大切な家族を守るための緊急対策ガイドを解説します。
ゲリラ豪雨が増加している
気象庁では、1時間に50mm以上の降水量を記録する豪雨のことを「ゲリラ豪雨」の代わりに、「局地的な豪雨」や「短時間強雨」といった表現を用いています。
気象庁が観測データに基づいて、過去数十年で短時間強雨が増加していることを報告しています。
増加の傾向を捉えるために、関連するデータとして、気象庁が観測している「1時間に50mm以上の降水量を観測した地点数」の推移を見てみましょう。
・1976年~1985年: 平均約290地点
・2011年~2020年: 平均約413地点
過去45年間で、1時間に50mm以上の降水量を観測した地点数は増加傾向にあり、特に近年は増加が目立ちます。
地球温暖化による気候変動や、都市化の進展が原因で、局地的な豪雨の発生頻度が高まっている、とする研究が増えています。
これらの数字から、ゲリラ豪雨の発生回数は年々増加傾向にあり、この傾向は今後も続く可能性があります。
ゲリラ豪雨は、いつ見舞われてもおかしくない「そこにある危機」になってしまいました。
ゲリラ豪雨に見舞われた場合

運転中に、ワイパーが効かないほどのゲリラ豪雨に見舞われてしまった場合、視界不良が重大な危険をもたらす可能性があります。
そのような状況で最初にとるべき行動は、安全を確保するための措置です。
以下のステップを行ってください。
ヘッドライトを点灯させる
日中の場合、オートライトが点灯しないことがあります。
周囲に自分の車の存在を知らせるためにも、ヘッドライトスイッチをAUTOから点灯に変更しましょう。
安全な場所を探す
近くの安全な場所を探しましょう。
高速道路や幹線道路であれば、できるだけ路肩やインターチェンジの非走行エリアを見つけてください。
ハザードランプを点ける
車を停車させる際には、他のドライバーに自車の存在を知らせるために、ハザードランプを点けてください。
これにより、自車の位置がより認識されやすくなります。
徐々に速度を落とす
焦らず冷静に、車の速度を徐々に落としてください。
急ブレーキは、スリップや追突事故に繋がる可能性があるので危険です。
後続車に注意を払いながら、安全な速度まで減速しましょう。
天候が回復するまで待機
悪天候が過ぎ去るのを待つようにしましょう。
ラジオやスマホ、車載ナビゲーションシステムを利用して、天候状況や交通情報を収集します。
立ち往生してしまった場合

「前の車が行けたので、自分の車も行けるだろうと水たまりに入っていったら、動けなくなってしまった。」
「浅いだろうと思って水たまりに入っていったら、エンジンが止まってしまった。」
そういう事態も想定できますが、非常に危険な状況です。

私も豪雨の中の走行中、冠水が思っていたよりも深くて、エンジンが止まりそうになったことがあります。
とにかくアクセルを目一杯踏んで、タイヤが空転しながらもなんとか脱出した恐怖の経験があります。
対処法 シートベルトを外す
車が止まってしまったら、まず最初にシートベルトを外してください。
車内まで浸水が始まってしまうと、人間はパニックになってしまい、シートベルトを外す判断ができなくなってしまいます。
冷静な判断を保つためにも、体の自由が効くことが大事です。
体の自由を奪うシートベルトは、最初に外しておきましょう。
対処法 車から出る
スグに車から出てください。
今が最善の状況と判断し、スグに車から離れましょう。
時間がたつほど深刻な事態になるのが、浸水被害です。
回りより低いところで立ち往生しているので、水がどんどん流れ込んできます。
みるみる浸水が深くなり、ドアが開けられなくなってしまい、車内に閉じ込められてしまいます。
救援を待つのは危険な判断ミス
車内に待機して救援を待つというのは、事態を悪化させるだけなので誤った判断です。
車内で救援を待っていても、警察、レッカー車といった救援車はスグに駆けつけることは困難です。
救援要請が殺到している場合が多く、また浸水域も多数発生していることが多いからです。
たとえ駆けつけたとしても近づくことができないので、救援することは難しいです。
10分躊躇するだけで、取り返しのつかない事態になってしまうこともあります。
最初から救援は諦めて、スグに自分から命を守る行動をしましょう。
対処法 窓を全開にする
もし冠水でドアが開けられず閉じ込められてしまったら、窓を一番下まで下げてください。
このとき、一緒に助手席側も開けましょう。
エンジンまで水が入っていますので、どのみち廃車です。
車のことは諦め、命を守る方法を複数確保しましょう。
エンジンが止まってしまって、ドアも開けられないほど浸水したときでも、電気系統はまだ使える場合が多いです。
✓ 緊急時に役立つ車載グッズとは?
ゲリラ豪雨の影響で突然の水没に直面する危険は、誰にでもあり得ることです。
こうした緊急事態に備えるために、車に常備しておくと役立つアイテムをご紹介します。
かさばらない小型のアイテムですので、小さな袋に入れておけます。
緊急脱出用ハンマー
水圧でドアが開かない事態に備え、窓ガラスを割って脱出するための必須アイテムです。
シートベルトカッター付きのものもあります。
■ポイント
・ガラスの端を狙うと割れやすい
・ダッシュボード内に保管し、すぐに取り出せるようにしておく
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ハサミ
万一判断が遅れてシートベルトが外せなくなったときでも、ハサミがあればカットして脱出することができます。
■ポイント
家庭用のもので大丈夫ですが、イザとなったとき錆びてて使えないということが無いよう、ステンレス製のものをおすすめします。
防災用ホイッスル
周囲に助けを求めるためのアイテムです。
大きな音で自分の存在、位置を、回りに知らせることができます。
回りの人が車の様子を見に来て、初めて中に人がいるのに気づくといったニュースを聞きます。
激しい雨の中では、大声で助けを求めても聞こえないのです。
■ポイント
・スグに取り出しやすい場所に保管
\ 遠くまで救助を求められるホイッスルは、こちら! /
まとめ
ゲリラ豪雨による、自動車水没時の緊急対処法について解説しました。
まとめとして、以下の点を強調したいと思います。
1. 浸水の危険を感じたら、まず冷静に状況を判断し、安全な場所への移動を最優先してください。
2.エンジンが止まり立ち往生してしまったら、まず最初にシートベルトを外してください。
冷静な判断の第一歩になります。
3 スグに車から脱出しましょう。
救援を待つのは、間違った判断です。
自分から命を守る行動をしましょう。
4.冠水でドアが開かなかったら、窓を全開にしましょう。
かなりの深さ水没しても、電気系統は可動している場合が多いです。
5. 事前の準備が安心に繋がります。
緊急脱出ハンマー、ハサミ、ホイッスルなどの必要なグッズを常備し、いつでも使用できるよう状態を確認しておきましょう。
ゲリラ豪雨による水没は、一瞬にして命に関わる危険な状況を引き起こします。
しかし、適切な知識と準備があれば、その危険を大きく軽減できます。
いざという時に冷静に行動できるよう、備えておきましょう。
安全運転と適切な判断が、あなたとあなたの大切な人の命を守ります。