世界3位の自動車巨人誕生へ!日産・ホンダ統合が描く未来と将来性

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ホンダと日産の代表車種の背後で握手している時の話題

2024年12月、ホンダと日産自動車は、経営統合を視野に入れた関係強化の協議に入ることで基本合意しました。

自動車業界は近年、急速に変化しており、特に電気自動車(EV)の普及が進む中、日産とホンダの合併は注目を集めています。
この合併が実現すれば、両社は新たな競争力を持つ企業として、世界の自動車市場での地位を強化することが期待されています。

この統合は、日産、ホンダの将来性にどのような影響を与えるのでしょうか?

記事のポイント

・世界的な自動車業界再編の波
・日産の経営状況は?
・ホンダの経営状況は?
・日産とホンダの合併はイバラの道?
・真の成功には何が必要か?

日産とホンダの合併の将来性は?背景の解説

ホンダNSX

世界的な自動車業界再編の波
日産の経営状況は?
日産が潰れそうな理由は何?
ホンダの経営状況は?
日産とホンダの関係は?

自動車業界は現在、「100年に一度」と言われる大きな変革期を迎えています。
この変革は、主に以下の要因によって引き起こされています。

  1. 電動化など、カーボンニュートラルが加速
  2. 自動運転、コネクテッドなど自動車の高知能化
  3. 中国自動車産業の台頭
  4. 世界的な半導体不足や原材料価格の高騰

これらの課題に対応するため、自動車メーカーは新たな技術開発や事業戦略の見直しを迫られています。

世界的な自動車業界再編の波

世界的な自動車業界の再編の波は、日産とホンダの合併検討にとどまらず、多くの大手自動車メーカーや部品サプライヤーにも影響を及ぼしています。
Volkswagen、ボッシュ、ミシュランといった巨大企業でさえも工場閉鎖を検討せざるを得ないほどの、業界構造の変革期に突入しています。

・Volkswagen/電動化への巨額投資と生産体制の見直し
世界最大の自動車メーカーであるVolkswagenグループは、電動化戦略を加速させるため、今後5年間で約28兆円もの巨額投資を行うことを発表しました。
一方で、内燃機関車の需要減を見据え、ドイツ国内の工場閉鎖や生産縮小を検討しています。
このように、従来型の自動車生産から、電気自動車(EV)を中心とした次世代モビリティへのシフトを本格化させています。

・Bosch/ガソリンエンジン部品工場の閉鎖
自動車部品の世界的大手であるBoschは、ガソリンエンジン部品の需要減少を見込み、世界各地の工場閉鎖を進めています。
ドイツ国内の2拠点で、2025年末までに合計約1,500人の人員削減を発表し、内燃機関関連部品の生産ラインの一部閉鎖を検討しています。
特に、環境規制の強化が進む欧州ではその動きが顕著で、電動化関連事業や自動運転技術への投資を強化することで、変化の波を乗り切ろうとしています。

・Michelin/需要減退によるタイヤ工場の閉鎖
タイヤメーカー大手のMichelinも、世界的な需要減退の影響を受けています。
特に、新車販売台数の減少は、タイヤ需要に大きな影響を与えています。
Michelinは、フランス西部の2工場を閉鎖すると発表し、従業員約1250人が影響を受けます。
また、電動車向けの新型タイヤ開発に注力、投資を増加させています。

日産の経営状況は?

過去3期の日産の業績を表現した図表

日産の経営状況を見てみると、
2022年度は10兆5967億円、連結営業利益3771億円、当期純利益は2219億円となりました。
2023年度は12兆6857億円、営業利益は5687億円、当期純利益は4266億円となりました。
2024年4月から9月までの中間決算において、日産の業績は著しく悪化しました:
売上高:5兆9842億円(前年同期比1.3%減)
営業利益:329億円(前年同期比90.2%減)
最終利益:192億円(前年同期比93.5%減)

日産が潰れそうな理由は何?

グローバル販売台数では、2023年こそ340万台と持ち直したものの、2018年の550万台から2022年の330万台まで、5年連続で販売台数を落としています。
主力市場であるアメリカでの、HVモデルラインナップ不足による販売不振や、中国市場でのEVシフトへの対応遅れが主な要因となっています。

・アメリカ市場での不振
日産のアメリカ市場販売台数は、セントラ、アルティマがそれぞれ12万台。
主力SUVであるローグ(日本モデルのエクストレイル)が28万台と1車種の依存度が高く、モデルラインナップの不足が大きく響いています。

・EV市場への対応
日産は、電気自動車(EV)市場へのシフトを進めていますが、既存モデルリーフの販売が低迷していることが課題です。
これに対し、新たに投入されたアリアは期待されているものの、全体の販売回復には至っていません。

ホンダの経営状況は?

2022年度のホンダの売上高は、前年比16.2%増の16兆9000億円、営業利益が8400億円、当期純利益は7600億円でした。
2023年度の売上高は、前年度比20%増の20兆4288億、営業利益は1兆3819億、当期利益は70%増の1兆1071億円でした。
2024年4〜9月期の連結決算純利益は4900億円と、前年比20%減になりましたが、安定して営業利益を計上しており、ホンダの経営状況は堅調な業績を示しています。

2023年度のホンダの世界全体での販売台数は398万台で、これは世界の自動車メーカーの中で7位に位置しています。
ホンダは、特にアメリカ市場での販売が好調であり、これが業績を押し上げる要因となっています。

日産とホンダの関係は?

これまで、日産とホンダは直接的な提携を結ぶことはありませんでしたが、両社はそれぞれ異なるパートナーシップを持っていました。

ホンダは創業以来、経営面での独立路線を貫いてきました。
これまで他の自動車メーカーと資本関係を築くことはなく、独自の技術開発と市場戦略で成長を遂げてきました。
しかしEV市場での競争が激化する中で、他社との協力の必要性を感じ始めています。
ホンダはGMやソニーとの提携を進めてきましたが、2024年12月GMと共同で日本で始める予定だった自動運転タクシーのサービスを中止すると発表され、GMとの関係は縮小へと向かっています。

一方日産は、フランスのルノーとアライアンスを組み、カルロス・ゴーン社長を迎えるなど深い関係を作ってきました。
このように、両社は異なる戦略を採用してきたため、直接的な協力関係は築かれていませんでした。

日産とホンダの合併の将来性は?イバラの道の出発点

宿命のライバル同士、両社の歴史をたどる
規模のメリットは? 世界と戦うための武器となるか
ブランドの独自性は維持できるのか? 消費者心理とのせめぎ合い
統合の課題
真の成功には何が必要か? 未来に向けた展望

1990年代後半、日産は業績不振を受けて破綻寸前までいきましたが、ルノーとの提携により一命をとりとめました。
辣腕で知られるゴーン氏の手腕もあって、業績も回復していきました。
しかし、古くからの日産の社風とゴーン氏の価値観のすれ違いから、ゴーン氏は日産を追放されます。
強烈なリーダーを失ったことと、EVかHVかの選択に失敗した日産は、再び業績不振に陥ります。
今回外資に売り渡したくない経済産業省が、ホンダに話を持っていったと思われます。
これまでライバル同士だった両社が、一つにまとまってこの荒波を乗り切るのは、非常に困難が伴うと思われます。

宿命のライバル同士、両社の歴史をたどる

戦後復興とモータリゼーションの波に乗る: 異なる出発点
日産は1933年、早くも自動車生産に乗り出し、戦後はトラックを中心に復興を支えました。
一方、ホンダは1948年に本田宗一郎氏が浜松市に設立し、当初は二輪車メーカーとしてスタートしました。
その後、小型スポーツカーS500で自動車業界へ参入。
その革新的な技術力で、瞬く間に注目を集めました。

高度経済成長期: 大衆車の覇権を争う
1960年代、両社のモータリゼーションを牽引したのは、日産サニーとホンダシビックという大衆車でした。
販売台数を競い合い、技術革新を推進することで、日本の自動車産業全体のレベル向上に貢献しました。

技術革新の時代: スポーツカーで世界へ挑戦
1970年代には、日産フェアレディZ、ホンダNSXといった高性能スポーツカーが、世界の舞台で欧米メーカーと肩を並べ、独自の技術力で世界に挑戦する姿勢は、多くのファンを魅了しました。

国際化と競争激化: 生き残り戦略の違い
1980年代以降、世界的な競争激化の中で、両社は異なる戦略を選択します。
日産は1959年に米国市場に進出以来、大胆な海外展開と規模拡大路線を進めました。
一方、ホンダは技術力を武器に独自路線を歩みます。

ホンダは世界に先駆けて厳しいエンジンの環境規制をクリアするなど、技術革新で業界をリードしてきました。
日産も高級車市場で存在感を示し、バブル期には次々と人気モデルを生み出しました。
日産はダットサンブランドで、ホンダはアコードを中心に販売を拡大しました。
この時期両社は、日本国内外でのシェア争いが激化しました。

バブル崩壊と提携の波: それぞれの試練
1990年代、バブル崩壊後の経営危機に直面。
日産はルノーとの資本提携による再建を選び、ホンダは独自技術で生き残りを図る道を選択します。
両社は苦難を乗り越え、21世紀を迎えることになります。

経営危機と再建の道のり
1990年代後半、日産は経営危機に陥り、1999年にフランスのルノーと資本提携を結びました。
一方、ホンダは独立路線を貫き、他の自動車メーカーとの資本関係を築くことはありませんでした。
この時期、両社の経営戦略の違いが鮮明になりました。

環境問題と技術革新: ハイブリッドとEVの開発競争
2000年代以降、環境問題への意識の高まりを受け、両社はハイブリッド車や電気自動車の開発でしのぎを削ることになります。
日産は世界初の量産EVリーフを2010年に発売し、ホンダもハイブリッド車インサイトを投入しました。
この時期、両社は環境技術においても競争を繰り広げ、特にEV市場での先行者利益を巡る争いが見られました。

規模のメリットは? 世界と戦うための武器となるか

両社は、2026年に共同持株会社を設立する計画を立てており、これにより世界第3位の自動車グループが誕生する可能性があります。
統合が実現すれば、両社の販売台数は735万台に達し、競争力を大幅に向上させることが期待されています。

ホンダは、2050年に事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、電動化戦略を加速させています。
その過程として2040年までに、EVとFCVの販売比率を全世界で100%にする。
2030年までにEV30車種を世界で投入し、EVの年間生産規模を200万台超にすると発表。
日本の自動車メーカーとして初めて「脱エンジン宣言」をしました。
これらの目標達成には、巨額の研究開発費や設備投資が必要となります。
研究開発費に8兆円を投資する計画を発表しており、その負担は決して小さくありません。

このような背景から、ホンダは、日産との合併によって、以下のようなメリットを享受できると考えられます。
開発コストの削減
電動化や自動運転といった次世代技術の開発費を共同負担することで、財務負担を軽減できる。
生産・調達規模の拡大
部品の共同調達や生産拠点の相互活用による効率化で、コスト競争力を強化できる。
車両プラットフォームの共通化により、開発コストや生産コストの削減が見込める。
グローバル販売網の相互補完
お互いの強みを活かした地域戦略で、世界シェアの拡大を図れる。
両社が持つ製品ラインを相互に補完することで、消費者の多様なニーズに応えることが可能になる。

ブランドの独自性は維持できるのか? 消費者心理とのせめぎ合い

対照的なブランドイメージ:スポーティと先進性 vs. 信頼と堅実さ
ホンダは、創業以来「技術のホンダ」として、高性能エンジンや革新的な技術を搭載した車を世に送り出してきました。
スポーティで先進的なブランドイメージを築いてきました。
一方、日産は「技術の日産」として、耐久性や信頼性を重視した車作りで、堅実で実用的なイメージを確立してきました。
近年では、高級車ブランドインフィニティを展開し、高級感も打ち出しています。

顧客視点の重要性: 愛着と信頼に応えられるか
合併を成功させるためには、顧客視点が不可欠です。
長年、日産車、ホンダ車に乗り続けてきた顧客は、それぞれのブランドに強い愛着と信頼を抱いています。
彼らの期待を裏切ることなく、新たな価値を提供できるかどうかが、合併後のブランド戦略の成否を握っていると言えます。

統合の課題

日産の黒字化が提携の前提条件
社員13万人の日産は世界で9000人のリストラを発表しています。
また、2026年に販売台数が350万台レベルであっても利益が出るような会社に再生することを必達目標にしています。

独自性維持の課題
経営統合によるシナジー効果を追求する中で、ブランドの独自性を維持することには課題も存在します。

プラットフォームの共通化
コスト削減のために車両プラットフォームの共通化が進められる可能性が高く、これにより両ブランドの車両の個性が薄れる懸念があります。

技術の共有
EVやソフトウェア開発での連携強化により、技術面での差別化が難しくなる可能性があります。

市場戦略の調整
両社の市場ポジショニングや販売戦略の調整が必要となり、これまでの独自路線の維持が困難になる可能性があります。

三菱自動車の参画
2024年8月1日には、この協業の枠組みに三菱自動車も参画することが発表されました。
三社が協力することで、さらなるシナジー効果と新たな事業機会の創出を目指しています。
しかし、企業文化の違う三社提携がスムーズに進むのか。
ホンダは独立性を重視してきたため、統合プロセスにおいて文化の違いをどう克服するかが重要な課題となります。

真の成功には何が必要か? 未来に向けた展望

新たなブランドストーリーの創造: 未来への挑戦
日産とホンダの合併は、両社の歴史と伝統を融合し、新たなブランドストーリーを創造するチャンスでもあります。
両社の強みを生かし、変化を恐れずに挑戦していく姿勢を示すことが、顧客の共感と支持を得るために重要となるでしょう。

ブランド戦略の成功例としては、トヨタ自動車とダイハツ工業の関係が挙げられます。
ダイハツは軽自動車や小型車に特化し、トヨタブランドとは異なる顧客層を獲得することで、両ブランドの共存を実現しています。
また、レクサスブランドのように、高級路線で異なる顧客層を獲得することも、成功事例として上げられます。
ホンダ、日産、三菱の三社連合も、それぞれのターゲット市場を明確にし、競合を避ける形で製品ラインを調整することが期待されています。

共通部分を土台にして、お互いの強みを生かす
共通プラットフォームを使用しつつも、ホンダの強みである軽自動車、エンジン技術、FCVに、日産の強みであるEV先行展開、自動運転をうまく相乗させる必要があります。

デザインの差別化
共通プラットフォームを使用しつつも、外観デザインや内装の質感で各ブランドの個性を際立たせる。

ブランド固有の技術開発
共通技術をベースにしながら、各ブランドの特徴を生かした独自技術の開発を継続する。

マーケティング戦略の明確化
各ブランドのターゲット顧客や訴求ポイントを明確に区別し、ブランドイメージの差別化を図る。
あわせて、日産とホンダの強みが異なる地域で、それぞれのブランドを重点的に展開する地域特化戦略を行う。

こういった方策により、両社のブランドが持つ特性を活かしながら、効率的な市場戦略を展開できる可能性があります。

日産、ホンダ統合の将来性は?総括

日産、ホンダの統合というビッグニュースが、自動車業界を駆け巡っています。
しかし、積極的な前向きの統合とは言い難い状況になっています。
経営危機に陥る日産を、ホンダが引き受ける。
そういった、後ろ向きのイメージが拭えないことも事実です。

主導権を握るホンダが、どのような舵取りをして、日産、三菱自動車を取り込んでいくのでしょうか?
それ次第では、世界第3位の自動車グループとして、日産、三菱自動車も再び輝きを取り戻すことでしょう。