冬の訪れとともに美しい雪景色が広がる一方で、ドライバーにとっては、雪道での立ち往生という脅威も現実味を帯びてきます。
「自分はスタッドレスタイヤを履いてるから大丈夫」
「そんな目に遭うはずがない」
そう思っていませんか?
大雪による車の立ち往生は、いつ発生するかわかりません。
過去の事例では、関越自動車道や国道での立ち往生が頻発し、数百台の車両が長時間にわたって動けなくなることがありました。
自分の車は大丈夫だとしても、他の車がスタックして立ち往生したため巻き込まれてしまう、ということもあります。
大雪の場合は影響が非常に広範囲なため、脱出までに数日掛かるなんてことも過去にはありました。
こうした状況では、車内に閉じ込められることが命に関わる事態に発展する可能性があり、毎年どこかで発生しているのが現状です。
いつ巻き込まれても大丈夫なように、車内に備えておくべきアイテムや、心構えについても解説しました。
車が立ち往生したときの命を守る備蓄、心構え
・食料の備蓄
・体温維持アイテム
・積んでおくべき自動車用品
・立ち往生に備える心構え
大雪の季節には、備えあれば憂いなし。
車が雪で立ち往生した場合に備え、生存キットを車に積んでおくことは非常に重要です。
このキットの中で特に重要なのは、食料と水です。
食料を選ぶ際には、保存期間が長く、調理不要で、栄養価の高いものを選びましょう。
食料の備蓄
カロリーメイトなどの保存食
カロリーと栄養素をすばやく補給できる便利な方法です。
・ナッツやドライフルーツ
栄養価が高く、軽量で持ち運びやすいスナックは、空腹をしのぐのに役立ちます。
特に、ナッツは脂肪分が多く、エネルギー補給に適しています。
・ドライフルーツ
ドライフルーツは、カロリーと糖分をすばやく補給できる良い供給源です。
・クラッカー
クラッカーは、カロリーを補給し、満腹感を維持するための良い方法です。
・ジャーキー
ビーフジャーキーやサーモンジャーキーなどのジャーキーは、タンパク質が豊富で、長期間保存できます。
・あめやチョコレート
簡単にエネルギーを補給できるため、運転中の疲労回復にも役立ちます。
・水の備蓄
500mlのペットボトルを、2〜3本用意しておくと良いでしょう。
スポーツドリンクなど、電解質を含む飲料も用意すると良いでしょう。
また、飲水の仕方も重要で、ゴクゴクと一気に飲むのは、体内に吸収されずにトイレに行きたくなるので避けましょう。
チビチビと少しずつ口に含んで飲む方が、体内に吸収されやすくなり、エコノミークラス症候群の予防にもなります。
雪を溶かして飲料水にする方もいると思いますが、雪は不純物を含んでいたり、汚染されている可能性があるので避けましょう。
体温維持アイテム
・保温シート
軽量でコンパクトに収納できる保温シートは、体温の低下を防ぐための必需品です。アルミ蒸着ポリエチレン製のものが一般的で、体温を反射して温かさを保ちます。
・防寒用の衣類
手袋や帽子、マフラー、厚手の靴下なども欠かせません。
体熱の多くは頭や手足といった体の末端から失われます。
・毛布、寝袋
車内で夜を明かす可能性を考慮し、保温性の高い毛布や寝袋があると安心です。
かさばるのが難点ですが、保温性を重視するならおすすめです。
・防水性の靴
雪道での歩行や車の周りの除雪作業を考慮し、防水性の高い靴やレインブーツを用意しましょう。
・使い捨てカイロ
使い捨てカイロは、手軽に温を取ることができるアイテムです。
特に寒さが厳しい時期には、お腹や背中などに貼ることで、効果的に体温を保持できます。
車内に常備しておくと安心です。
積んでおくべき自動車用品
・牽引ロープ
牽引ロープは、車が雪に埋もれたり、スリップして動けなくなった際に、他の車両に引っ張ってもらうために使用します。
車を動かす際に不可欠であり、他のドライバーからの支援を受けられることで立ち往生から脱出するのに役立ちます。
伸縮性のあるタイプとワイヤータイプがありますが、伸縮性のあるロープは引っ張り始めの衝撃を和らげるため、スタックした車両の救出に適しています。
・ブースターケーブル
低温の環境ではバッテリーが弱ることが多く、バッテリー上がりのリスクが高まります。
寒冷地で長時間車内に閉じ込められている状態では、アイドリング状態での暖房やライト、ハザード、ワイパーの使用など電力消費も多いためです。
バッテリーが上がってしまうとエンジンが始動できず、暖房を使うことができないため、命の危険につながることになります。
ブースターケーブルは、バッテリーが上がった際に他の車両から電力を供給するための重要なアイテムです。
・スコップ
スコップは、タイヤの周りや車の周辺の雪を取り除くのに不可欠です。
チェーン装着する時や、車が雪に埋もれた際の脱出作業に役立ちます。
マフラー付近の積雪を取り除くことも重要です。
マフラーが雪で詰まると、排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒になる危険性があります。
また、気温が低くなった際、雪が氷になって固くなる場合があります。
そんな時でも、砕きながら雪かきができるので、先の尖ったスコップをおすすめします。
・タイヤチェーン
大雪時には、スタッドレスタイヤでも十分な走行性能を発揮できない場合があります。タイヤチェーンを装備することで、より確実な走行が可能になります。
しかし、金属チェーン、ゴムチェーンは雪の中での装着が困難なので、より装着が簡単な布チェーンを積んでおくことをおすすめします。
布チェーンは緊急脱出用に有効ですが、強度が弱いため積雪地帯を抜けたら、なるべく取り外すようにしましょう。
立ち往生に備える心構え
・燃料は満タンに
大雪の季節で車が立ち往生した際には、周囲の状況や救助までの時間が予測できないこともあります。
燃料が十分にある場合は、暖房やエアコンを長時間使用しても、燃料切れの心配をせずに過ごすことができます。
また、積雪や通行止めにより、予定していたルートが通行できない場合、迂回が必要となります。
迂回ルートは距離が長くなり、燃料を多く消費することになります。
半分ほどの残量になったら給油するなど、日頃からこまめに燃料を満タンにすることを習慣付けましょう。
・暖房は外気導入にする
内気循環モードで長時間車内に閉じ込められてしまうと、車内の二酸化炭素濃度が上昇するため危険です。
外気導入は車内の空気を入れ替えるので、効率良く換気ができます。
1時間に1回は窓を全開にするなど、定期的に窓を開けて換気することが重要です。
ただし、外気が非常に寒い場合は、内気循環に切り替えて暖房を強化することも考慮しましょう。
・現在位置と状況を知る
自分の車は、現在どこに止まっているのかを確認しましょう。
家族に知らせたり、救援を呼ぶときに必要になります。
最後に見た道路標識や、交差点の信号機に掲げられている地名を記憶しておくと、おおよその位置を伝えるのに役立ちます。
付近にある目印、たとえば特徴的な建物や橋、または自然の特徴 (山や湖など) についても、複数情報を確認しましょう。
車が立ち往生したときあると役立つ備蓄品
・電機関連
・日常品
電機関連
・LEDライト
LEDライトは寿命が長いため、長時間の使用でも寿命を気にする必要がありません。
これは、車のバッテリーを節約するためにも非常に重要です。
また、多くのLEDライトには、点滅機能が搭載されています。
この点滅機能を利用することで、周囲にSOS信号を送信し、救助隊に自分の位置を知らせることができます。
チェーンの取り付けやマフラー付近の除雪など、広範囲を明るく照らす機能も備えてますので、安全かつスムーズに作業を進めることができます。
・シガーソケット充電器、モバイルバッテリー
立ち往生が長時間に及んだ際に、スマートフォンの電池がなくなると、緊急時や救助の際に連絡が取れなくなるリスクがあります。
シガーソケット充電器を使用することで、車内での待機時間や緊急時にスマートフォンや携帯電話を充電して、通信手段を確保することができます。
モバイルバッテリーは、あらかじめ充電したものを車内に備えておくことで、必要な時にスマートフォンや他のデバイスを充電することができます。
LEDライト付きのモデルなど、充電以外の機能を備えたものもあります。
日常品
・タオル
タオルは万能なアイテムであり、立ち往生や緊急時には様々な使い道があります。
車外での作業や雪かきの後、雪や雨で濡れてしまった場合にはタオルで体を拭くことができます。
濡れたままでいると体温が下がり、凍傷や体調不良のリスクが高まるため、早めに拭くことが重要です。
窓ガラスを拭いて視界を確保したり、膝掛けやクッションとして使用したりすることも可能です。
また、寒さを感じる時に、タオルを首や頭に巻いて暖を取ることができます。
マフラーの代わりとしても使用でき、体温の維持に役立ちます。
・ゴミ袋
ゴミ袋は非常にシンプルなアイテムですが、多くの場面で役立つ重要なアイテムです。
45リットル以上の大きめサイズで、破れにくいよう厚手で丈夫なものを、最低数枚は入れておきましょう。
車内での飲食などで出たゴミを入れたり、濡れた衣服や靴を収納するのにも役立ちます。
緊急時には、ゴミ袋を雨具代わりにしたり、靴に被せてレインブーツのように使うこともできます。
緊急時や長時間車内に閉じ込められた際に、非常用トイレとして活用することもできます。
大きめのゴミ袋を二重にして、中に凝固剤や消臭剤を一緒に入れておくことで、衛生面も安心です。
凝固剤や消臭剤がない場合は、新聞紙やトイレットペーパーを敷いておくことで、代用できます。
また、ゴミ袋は、水を入れて運んだり、雪を入れて溶かしたりと、アイデア次第で様々な使い方ができます。
■まとめ
本記事では、大雪で車が立ち往生し、長時間車内に閉じ込められた際に役立つ準備と知識について解説してきました。
重要なポイントを振り返ると
- 非常食と飲料水の備蓄
- 保温シートや防寒着、使い捨てカイロなどの体温維持アイテム
- 牽引ロープ、ブースターケーブル、スコップ、タイヤチェーンなどの自動車用品
- 燃料を常に満タンに保つ習慣、外気導入暖房、現在位置の確認といった心構え
- LEDライト、シガーソケット充電器、モバイルバッテリーなどの電源確保
- タオルやゴミ袋など、多用途に使えるアイテムの準備
これらの準備は、単なる「もしも」のためではありません。
実際に、命を守る可能性のある重要な対策です。
日頃から車内に必要なアイテムを備え、定期的にチェックし、使用方法を確認しておくことが大切です。